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by acine

LAND OF PLENTY ランド・オブ・プレンティ ’04 アメリカ・ドイツ

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9.11以降の今のアメリカを描いた
ヴィム・ヴェンダースの心のロード・ムーヴィー

アフリカとイスラエルで育った20歳のラナ
ある目的を持ち 叔父を探すため
10年ぶりにアメリカへ戻ってきた
そして ベトナム戦争の後遺症にさいなまれながら 
一人 アメリカを守ろうとする叔父のポール
そして 遭遇したイスラム教徒の殺人事件から
旅立つことになる 叔父と姪

LAの街の雑踏 西海岸の乾いた大地 カラっと青い空 埃っぽい道 
映像 シーン 音楽がシンクロする瞬間も一杯
心にズキっと来る 考えさされるセリフもあちこち
真剣に見る そしてロードシーンで少し癒され また考えさされる

若いながらも アメリカを離れ 
いろんな世界を見てきた聡明なラナの瞳
だけど今時の子 ibookとipodはいつも手放せない

最初は本当に軍関係? 見てるうちに違うことに気がついてくる
アラブ人を追跡し オンボロのヴァン、古い装備で
一人アメリカの警備の為に 立ち向かう愛国心に燃えた叔父
あまりにも狂信的で この人頭がおかしいんじゃないのか?
と思って見ていたけれど 段々 彼の辿ってきた道を思うと
いたしかたない部分もあるのかな・・・と
だけど 彼のエネルギーの向け方は どうも理解しかねる

けれど 9.11の事件の時 ラナが
”ヨルダン川の西岸では 周りの人は歓声を上げていた ショックだった”と言う
”何故?” とその理由にまるで気がついていない叔父
”アメリカを憎んでいる人たちもいるの”というラナの答え

映画なので ステレオタイプに描いてる部分ありだと思うけど
全てのアメリカ人が そうではないとは思う
多かれ少なかれ 世界にはそう思っている人は
少なくないかもしれないという事実 ラナの叔父のような人は
多かれ少なかれ アメリカにはいるのだろうと思わせる

勝ち負けでしか物事を計れない 自分の国さえよければいい
自分達が世界の中心にいる・・・と思うのは全く自由
だけど 世界にはいろいろな国があって いろいろな民族がいる
いろんな宗教がある 各々の国の立場がある 
価値観も様々 各々のスタンダードは違うんだという事実
そういう世界もあるんだよと 
ラナはそっと 叔父のポールに教えてあげたような気がする

なんて言う 私も世界のことなんてわかってるなんて 到底言えない
戦争に行ったこともない 戦争や紛争に巻き込まれたこともない
純粋培養されたような国 日本に生まれ育っているから・・・
これは人間として 幸か不幸か?というと 幸せなんだろうと思う
ただ ちっぽけでも日本以外の事も知ろうとする心は 持ち続けていたい

ラナに”お国はどこ?”と訪ねられたアラブ人
”国ではなく 民族だ”と答えるシーンも印象的だった

亡くなった母から兄(叔父)への手紙
これが効く じわーっと涙が湧いてくる
そしてNYに着き 9.11の現場を見下ろす叔父と姪
重いテーマだけど 後味はよい 良質のロード・ムーヴィー
音楽も渋くてカッコよく これまた良質
16日間で撮ったとは思えない 質の良さ
大金・日数かけた大作より よっぽど内容はいい
言いたいこと・見せたいことが シンプルで力強い 

映画を見ながら ふと頭をよぎった人たち
テル・アビブとスペインに住むイスラエル人の友人たちのこと
カナダに住むいとこの旦那さん イラン人のHさんのこと

今日の映画 81点
by acine | 2006-02-13 23:09 | Estados Unidos 米映画