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by acine

12TANGOS ADIOS BUENOS AIRES  12タンゴ/ブエノス・アイレスへの往復切符 ’05 ドイツ

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冒頭の画像の粗さが気になって
 (画素数の低い写真を 無理に大延ばしにしてる感じ)
こんな映像の粗い映画は見たことないわ・・・とちょっと唖然としたけど
その後はぐっと映画に引き込まれた

もっと音楽とダンスに焦点を絞った映画かと思っていたら
意外にも アルゼンチンの普通の人々を追ったものだった

かつてヨーロッパで踊っていた ダンサーのロベルト71歳
そのペアの20歳のマルセラは ダンサーとして もうすぐフランスへ旅立つ
そして全くタンゴとは関係なく もうすぐ出稼ぎのためスペインへ旅立つ主婦

この3人の姿を タンゴの音色と歌とダンスをはさみながら追っていく
気負いのないドキュメントという感じ

かつて 夢を抱いてヨーロッパからやってきた移民たち
仕事がなくて また祖先の国ヨーロッパを目指す
そんな意味が日本タイトルに現れている

独身を貫く 粋なジイさんロベルト 
酸いも甘いも噛み分けた なんとも伊達男な71歳  
資産を凍結されても しょうがないさ・・・で 
彼の楽観的で前向きで タンゴを愛する生き方は 本当に粋だ
ちょい悪オヤジなんぞ 全然甘っちょろいとさえ思える カッコよさと渋さ

そして そんな彼とペアを組む キリっとしたラテン美人のマルセラ
71歳のロベルトと組むのは 勉強になるし 本当に楽しいわ!と
別れを惜しむバルでのシーンは 年齢差なんて気にせず
単に人間同士 人としての相性の良さを重視する そんな関係がうらやましい

今時の日本のハタチの女の子だったら 
いくら上手いからと言って 71歳のジイさんとペアを組むだろうか? 
そういうラテン的ラフで 人間的な世界がすごく自然でいい

そして子供達と離れて スペインで掃除婦をする母と離れ
母代わりに家を守る 娘達・・・

なんでもない ふつうのアルゼンチンの人々の姿が自然なのだ
国を離れないと 将来はないという厳しい状況の中
タンゴの曲の歌詞が すごくストレートに心に響く
いろんな顔つきをした バンドや歌い手の顔も
アルゼンチンの移民の歴史をそのまんま表わしている

この映画は なぜタンゴがこういう音をしているか・・・?

哀愁や郷愁を帯び 陰影があり ロマンティックであり 
ヨーロッパの香りもするのか? アルゼンチンへ移民してきた人たちの
歴史や生き方がすべて反映されてきたもの・・・ということが
本当によくわかる映画だった

タンゴという 音楽と踊りの源

アルゼンチンへ移民してきた人たちの思いが こういう風に表れている
こんな国だけど 死ぬ時はこのアルゼンチンで死にたい というロベルト
素朴なドキュメントだけど とてもいい映画だった

今日の映画:80点
by acine | 2007-02-27 11:38 | Alemania ドイツ映画