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by acine

36 Quai des Orfèvres  あるいは裏切りという名の犬  ’04 フランス

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予告を見た時から これは見なくては!と思っていたフレンチノワール
ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー共演
渋いじゃないか・・・ 二人とも私は好きなフランスのベテラン俳優たち

予想通り なんとも虚しく哀愁漂う 男たちの渋いことよ
熟成されて 枯れた味わいのある 赤ワインのようなノワールもの
警察&裏社会ものってーのは こういうもんだよ・・・と 
静かに情感豊かに とつとつと語ってくれるような
ヨーロッパ フランスらしい 大人のドラマ

よい意味で なんとなく ”インファナル・アフェア”や
香港ノワール映画と共通点も感じる雰囲気
かたやアジアの湿度と業 かたやヨーロッパの大人文化と渋さ
どっちの男たちも 文句なしにカッコいい
こういうのが今 現代ノワール映画のスタンダードなのかも

先日 いくつか賞を取られたらしい 
某ディパ・・・などとは比べ物にならない 味わい深い大人の映画
私はこういうアジアやヨーロッパのノワールの方が絶対肌に合う

ストーリー:Yahoo!映画

以下 多少ネタバレあり

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元警察官だったという監督の描くストーリーは リアリティがある
実際 2つの実在の事件をベースにしてるらしい・・・
警察官と裏社会の関係 各々の情報屋との関係
警察内での手柄競争 権力争い 腐敗・・・

登場人物も多い割には シンプルに描いてるので 芯がブレない
骨太さに渋さが加わって 見ごたえ充分
そんな中に これまた 色気のある渋い女たちが
邪魔にならない程度に花を添えるのが おフランス映画らしさも充分

犯罪シーンや銃撃シーンは かなり激しい
言葉少なにパパっとストレートに描かれるのがいい
そして 男たちが語り過ぎない 言葉少なに 静かに語る
そして やる時はやる! このリズムがすごく心地よい

ひつこいようだが 某ディパのように わめきちらしたり
目をひんむいたり 俺が!俺が!な 過剰演技が有効ではない
というのが この映画を見ていたら よーくわかる
全体的に全ての事柄が大人なのだ・・・ 文化の違いが全て?
言葉少なでも 台詞の重みや佇まいで 充分すぎるほど
ストーリーは表現できてるから・・・ こういう表現の方が私は好き

36 Quai des Orfèvres   あるいは裏切りという名の犬  ’04 フランス_e0079992_10435230.jpgそしてなんともいいのが この二人
ダニエル・オートゥイユの巻き込まれ型苦悩
ジェラール・ドパルデューの淡々とした悪徳ぶり
渋い! 決して端整な顔でもなく 
体もゴツかったり タルんだりしてるけど 
それがどうした?!的貫禄の演技


二人の独特な顔つき その顔に刻み込まれた皺までが 物語っているような気がした
私は 思わずダニエルに肩入れして見てしまったけれど・・・
まさに トニーとアンディが あと15歳年を取り 
舞台をフランスに移せば こんな雰囲気だろうな・・・とも思った
ひつこいようだけど 一人テンパってた某J.Nなんて
こうるさい道化師にしか過ぎない というか ただの○カだ
フランスオヤジ連の渋さには まったく歯が立たない

主役二人 上官 部下 犯人達 この男たちも全て渋い
いつもはこまっしゃくれた感じが漂うフランス語の響きも 今回は静かで渋い
そして出てくる警察 パーティ会場 自宅 刑務所・・・
ヨーロッパならではのロケーションたちが これまた粋なのだ
渋い男たちに ヨーロッパらしさはすごくいい

あと車! ダニエルはアルファ・ロメオ ドパルデューはBMW
警察の車、護送車などは いろんなプジョーがてんこもり! 
犯人もメルセデスのバンだったり 欧州車のオンパレードで
これもヨーロッパらしさがプンプン デザイン綺麗なので
これもある意味 目の保養!

映画の中のシーンとはいえ それにしても 警察官とは危険な仕事だ・・・
裏社会との関係も・・・ 捕まえた犯人から
 ”必ずお前の家に行くぞ そしてお前と家族を皆殺しにするぞ” なんて 怖すぎる

スケールは 決して大きいとはいえないけど 
心理戦に絞った点が 見ごたえ充分 
なんとも渋く 虚しさを感じた 大人のノワール映画

今日の映画:81点

この映画もすでにハリウッドがリメイク権を買ってるそうだ
ロバート・デ・ニーロとジョージ・クルーニーが出るらしい・・・
少なくとも 某ディパよりは大人の映画になりそうだけど
二人に年令差がない? 

それにしても 本当にハリウッドにはネタがないんだろうか?
本当にその映画が面白ければ そのまま輸入して公開すれば
いいのに そこまでの度量はないんだなぁ・・・
適当な物件見つけて リメイクして 儲かればそれでいいんだろうか?
なんだか 方向性間違ってるとしか 思えないんだけど・・・
それに巻き込まれてる人たちも しょうがないんだろうけど・・・



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パリ シャルル・ド・ゴール空港 ’02年にトランジットで寄ったターミナル
見たことある風景が たまたま映画に出てくることが 最近続いている?
この映画のラストシーン・・・ まさにこの2枚の場所!
by acine | 2007-03-10 10:31 | Francia フランス映画