Mi cinema log acine.exblog.jp

簡単に覚え書き 映画メモ 美しすぎだろ リリーちゃん


by acine
プロフィールを見る
画像一覧

LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON  潜水服は蝶の夢を見る ’07 フランス・アメリカ

e0079992_13134650.jpg

もとELLEの編集長だった ジャン=ドミニク・ボビーが
脳梗塞で倒れ 身動きもとれないまま 唯一動く左目だけで 
1冊の本を作り上げた実話をもとにしたストーリー
詳しくは:Yahoo!映画

監督 ジュリアン・シュナーベルの映画は バスキア と 夜になる前に を
見ているので なんとなくテイストの予想がつくものだったけど・・・

彼の葛藤する心 そんな状態になって 初めてわかる子供達への気持ち
静かに そしてヴィヴィッドに 生きる・・・とはを問う 映画だったと思う

少しネタバレあり

冒頭から ジャン=ドミニクから見た世界 
そして誰にも決して聞いてはもらえない心の声
そんな世界が 中心に写るのがとても新鮮

右目のシーンは えぇ~?!と かなり驚いた
誰にも理解してもらえない世界に 突然放り込まれた主人公の
気持ちが 視覚的にも心理的にも 痛く悲しいシーンだった

e0079992_1337130.jpg


そして 映画の中で何度も繰り返される
言語療法士や奥さん 本を作るために呼ばれた女性の口から 
何度も何度も発せられる 意志の疎通を図るための
アルファベットのシーンがこの映画のポイントでもある
よく使われる文字順に読んでいくというのも 目から鱗だった

こんな風にしないと 自己表現が出来ないなんて 
なんて気の毒なんだと思いつつ 繰り返し繰り返し発せられるアルファベット
なんだか永遠にこれが続きそうで 聞き飽きそうだ・・・と
思いながら見ていると そのフランス語の優しい響きのせいか
段々心地よくなってくるのが なんとも不思議
まるで子守唄のようにも聞こえる きっとそれを聞いてた
ジャン=ドミニクもそうだったのではないか?と思う
それにしても お互い忍耐の必要なコミュニケーション方法だ

彼の夢想する 動ける自分のシーンを見ていると
そして 仕事も遊びも楽しんでた業界人の主人公には 
動けない自分 女性にも触れれない自分 年老いた父にも会いに行けない自分
子供の頭を撫でてやることもできない自分・・・ 
どの自分も 歯がゆくてしょうがなかったんだろうと思う
だけど 自分ではどうすることも出来ない

そんな孤独感と 夢見たり回想する華やかなシーンと
パリから遠く離れた海辺の海軍病院にいる
動けない自分とのギャップが また余計寂しさを感じさせる感じ

そんな主人公が 過去を反省しつつ 
周りの人にも励まされ 心の声で悪態をつきつつも 努力をし 
1冊の本を書き上げ終えた一生は決して不幸なことばかりではなかったと思う

感動大作というわけじゃないけど 
父親と主人公の電話での会話のシーン
そして主人公と息子の海辺のシーンには思わず鼻がツーンとした

老いるのも悲しいが 大人とはいえ 自分の子供が
そんな状態に陥ってしまうのは 想像を絶する辛さだろう
そして息子にヨダレをぬぐってもらうしかない父親・・・
美しいけど 心理的になんとも哀しいシーンだった

e0079992_13383313.jpg


放っておかれたはずの奥さんや 取り囲むいかにもフランス的な美女たち
周りの人に恵まれすぎ?なシーンは ちょっと鼻についたけど
遊び人だったジャン=ドミニクらしい 病後の風景だったのかもしれない
詩的で 静かなヨーロッパテイスト溢れるヒューマンドラマだった

テイストとしては 海を飛ぶ夢 とよく似ている感じがした
そんな状態で生きるにはどうするか?
どんな風に 動ける自分を夢見るか・・・
片やフランスもの 片やスペインもの お国柄の違いはあるけど
個人的には 骨太な作りの ”海を飛ぶ夢” に軍配かな

だけども あの鼻にかかったフランス語の”ぱぴよん”という響きは 
苦境の中でも どこか希望と甘やかさを感じさせる言葉で 
あの女性達のアルファベット読み上げのシーンと共に
この映画の印象・余韻として 五感にしっかり残ったような気がする

今日の映画:78点

この主人公を演じてた マチュー・アマルリック
ミュンヘン にも出てたらしいけど (全然覚えてない・・・!)
007の新作で 悪役演じるらしい・・・ ダニエルの敵になるわけね
[PR]
by acine | 2008-03-11 12:56 | Francia フランス映画