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簡単に覚え書き 映画メモ 美しすぎだろ リリーちゃん


by acine
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There Will Be Blood  ゼア・ウィル・ビー・ブラッド ’07 アメリカ

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これは 年に何度かお目にかかる 本気印の映画

事前情報は ニューメキシコを舞台に 石油を発掘する野心家の男
そして 宣教師の男が絡む・・・ ”ブギー・ナイツ”も”マグノリア”も見てる
ポール・トーマス・アンダーソン作品 キャスト陣がこの人とこの人・・・くらい

なんとなく シリアスで 息がつまるようなマジメな映画かな~?と
思っていたら いい意味で予想が外れた感じ ドラマが見事!

その緩急見事なテンポ メリハリが利いて
テンションも高く 各々のキャスト陣の素晴らしい演技
ストーリー運びの上手さ 演出の上手さ!映画らしい映画だな

一歩間違えば 単なる退屈な映画になりかねない地味な題材を
ここまでエンターテイメント性高く グイグイと観客を引っ張る力強さ

その思うようにいかない人生の歪み そして人間の強さと弱さ
そして 善と悪 強さと弱さ 宗教と無宗教 それらは実は紙一重
なんじゃないか?と思わせてしまう 圧倒的な説得力 

オーソドックスながら おかしいよ・・・絶対匂うよこの展開 と思っていたら
ほぉ~!こう来るか!連続 そのストーリーテラーぶりが見事な映画でした
決して 後味いいわけではないんだけど 
ノーカントリー のような一時も目が離せないタイプの映画

しかし 冒頭の古い時代からの 石油掘りの風景・・・
時代と共に 成功と共に 手作業から だんだんと大掛かりになってきて
まさに金脈を掘り当てる・・・とはこのことよ パイプラインとはこのことよ・・・
という感じで 石油を探して掘って一攫千金なのはいいけど 
本当に3K(死語)な仕事だ それ故に危険で生死が行き交う毎日
この映画でも人生をの歯車が狂い始める人があちこちに・・・ 
そんな人たちがこの映画の語り部や鍵になる・・・

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以下 少々ネタバレあり

いわくつきの洗礼を受けたものの 神も人も信じず
自分が神と信じて疑わぬ 自信過剰でやり手 
自分の野望を優先 そんな男を演じたダニエル・デイ=ルイス
この人も縁がなくて なーんと初見でしたが・・・
父性も感じさせつつ 人間味もある男なので 魅力的なんだけど
非情な部分や 誰も信用できない本質を併せ持つ男 圧巻でした!
テンション高く 間違っていようが 誰も彼に口出しできないのだ
そんな男でもエレガントさが漂っている このあたり何ともイギリス男
アカデミー主演男優賞・・・これは深く納得!

そんな父親と子供ながら しっかりと家内工業 
頼れるビジネスパートナーとして働く息子H.W 
えぇ~? こんなのあり? まさに帝王学! 
この二人の風景が 風変わりながら 人間的でもあり 
非情でもあり そういえばこの人が親?と
冒頭での疑問が ラストと結びつく 無垢で言葉を
心に一杯隠し持っていそうな子役の子・・・達者でした

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そして 植物的で キューピーみたいな顔した なで肩のポール・ダノ
キング 罪の王 リトル・ミス・サンシャイン  どっちでも 
なかなかクセのある印象に残る演技していたので
個人的には ダニエル・デイ・ルイスと真っ向勝負してるという
彼の演技が楽しみだったんだけど・・・ 彼もキテました! 
何かに憑りつかれたかのような一見まともそうで 
とんでもないイカレた田舎町のカリスマ宣教師 
もしくは天才ペテン演技か・・・信者も気持ち悪かったけど
無垢な瞳の中の狂気と弱さ 情けない役だったけど上手かったなぁ

あぁ・・・ こんなことしてたら バチ当るかも・・・というシーンでは やっぱりね
順風満帆かと思っていたら そうは問屋がおろさず しっぺ返しが来る・・・
あぁ・・・コイツは怪しいよ・・・と思っていたら やっぱりね!となったり
その見せ方が キッチリお膳立てされてる予定調和の中なのに その驚き!
この映画は そういう見せ方が本当に上手い

結局 信じるからと言って 人間が皆救われるわけではない
自分を神と信じていた人間も しょせん神になれるわけがない
何かを優先すると 何かに歪みが出来る・・・

上り調子の古きよき時代のアメリカの荒野での刹那感と狂気
なんとも 見応えたっぷりの映画だった

今日の映画:85点
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Commented by paris.fleur at 2008-05-05 23:59
これ観た!観た!観たぁぁぁぁぁぁ!!!
もうフランス語字幕でチンプンカンプンで観たあとパリオに逆切れしたからね。すごい本気作品なんで日本語字幕でみたかったと。最後あまりにも難しくて少し寝てしまって起きたら奴がイカレ牧師を追い詰めてるシーンで「ヒィ~!」みたいな・・・(笑)いやいや長く苦痛な映画でした。映像もキツイとこあったからね。でもかなり興味がわいて「あれはなんでそーなん?」とか質問しまくりやったけど。ある意味疲れた映画でした。
Commented by acine at 2008-05-06 20:25
◇アヤコちゃん おぉ~!アヤコちゃんも見たのね!
しかしフランス語字幕とは厳しそう・・・って、アヤコちゃん、私の中では
上級者っぽい雰囲気プンプン漂うけど?!でも、こういうタイプの映画は
やっぱり日本語字幕で見て、しっかり内容押えたいよね~。パリオ氏に
逆切れってわかるわ~(笑)。確かにこれはそういう悶々としながら、見ると
疲れる映画よね。長いし!私も昔スペインでスペイン語版(しかも吹替済)の
チャーリーズ・エンジェル見たけど、あれはストーリーなんかあって
ないような映画だから、OKだったけど(笑)。
Commented by kiki at 2008-05-06 21:33 x
acineさん、凄く気に入ったのねん。これは宣伝文句とは違う映画よね。プレインビューは別に欲望で怪物になったわけではない。元から何かドス黒いものを持っていて、ひたすら目指すところへ邁進していっただけ、という感じだった。故郷を出る時、父親との間に何か確執があったような感じだけどハッキリとは語らない。何もかもハッキリとは語らないで観客に考えさせるという映画ですね。結局のところ、石油がどうこう、欲がどうこうじゃなくて、「人間、この複雑なる生き物」というのがテーマだった気がします。ポール・ダノ、行っちゃってたなぁ。凄いインパクトでした。くふ。
Commented by acine at 2008-05-07 21:31
◇kikiさん そーなのよ。いい意味でこれは予想を裏切ってくれる作品で、
”ノーカントリー”同様、kikiさんも書かれてるように、多くを語らない、
観客に委ねる映画だったよね。終わって、だからどうなのよ?的作品だけど、
こんなドス黒い題材で、自分しか信じない男、そしてイカサマ宣教師まで
絡ませて、グイグイと引っ張っていく様は見事!でした。
そうそう、あくまでも石油や浴は二の次・・・人間って生き物はわからん・・・
ということに尽きるでしょうね。kikiさんのまとめもお見事!
Commented by kazupon at 2008-05-20 09:46 x
acineさん

こんにちわ!
「みなさんを必ずいい暮らしができるようにしますよ!」って田舎の
住人にスピーチするダニエルと
悪を神の力で退散させるなんて胡散臭い宗教で人を惹きつけている
イーライ、タイプは違うけど、実は同じようなことやってる二人で
だからこそ互いに憎みあうというか、領域争いしてるんだろうなって
思いました。PTA作品は久しぶりでしたけどもっと観たいなぁとすごく思います。
Commented by acine at 2008-05-20 23:53
◇kazuponさん こんばんは!
ほんと!ほんと! kazuponさんの書かれてる通り、立場は違うとはいえ、
悪徳二人のやってることは一緒ですよね。実は同業者だった、だからこそ
ネジれた妙な連帯感が湧いたり、憎さも半端じゃなくなって、あぁいう
結末になったんでしょうね。神もお怒りになりあんな破れかぶれの
結末になったのかな~?後味良くないのに、人間のドス黒さを存分に
見せ切った映画でした。
ずっと気になってる”パンチドランク・ラブ”も見なくては~!!!

Commented by rabiovsky at 2008-05-22 23:57 x
TB&コメントありがとうございました

「ブギー・ナイツ」と「パンチドランク・ラブ」は見ているのですが
どんな映画なのか全然想像がつかなくて“石油を掘る”ぐらいしか
予備知識がなかったのですが いや~凄かったですね~
最初はマジメ系かなと思っていたら、話が進むにつれ
加速をつけるように、やらかしてくれますからね~(笑)
本当にオーソドックスなのにグイグイと観客を引っ張る力強さを感じる映画でした。

そういえばacineさん、イギリス男がお好きでしたよね。
ダニエル・デイ・ルイス もう演技とかを超えてプレインビューそのものという
印象を受けました。存在するだけでアリって感じで!
ダニエル・デイ・ルイスと真っ向勝負するポール・ダノもよかったですね~
気持ち悪くて(笑)キテる同士の戦いですから スゴイです!

個人的にはプレインビューとH.Wのある意味キテるツーショットが好きです。
Commented by acine at 2008-05-24 23:03
◇rabioさん こちらこそ、ありがとうございます~!
私はブギーとマグノリアなんですが、rabioさん同様、石油絡みの暗い重い映画
かな~?と思っていたら、いい意味でキョーレツ!ほんと凄いもん見せてもらったな~と
いう感じで、後味良くないのに、大満足でした。
ほんとやらかしてくれましたね~。特にダニエルVSポールの凄い対決が
もう人間の神経逆なでスレスレでしたもんね~(笑)。
正統派なんだけど、こんな題材でこんな力強さとは凄かったです。圧巻!

ははは!嫌いじゃないですね(笑)。というか好き。UK一帯の人はいいですね~!
チャラチャラしてなくて、地に足がついてて。しかも演技力も存在感も
ある人多いし。
ポール・ダノ、弱々しさも感じつつ、あの気持ち悪い入魂演技よかったです。
彼の出演作選びはまたマニアックですよね~。
H.W役の子も、こういうダーク系にピッタリのルックスでした。
悪魔と紙一重の天使のような。
by acine | 2008-05-05 00:13 | Estados Unidos 米映画 | Comments(8)