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簡単に覚え書き 映画メモ ひっそりと書いてます   美しすぎだろ リリーちゃん


by acine
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タグ:ケン・ローチ ( 3 ) タグの人気記事

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社会派 ケン・ローチの新作
昨年のヴェネチア映画祭脚本賞受賞作
詳しく:東京美術通信

背景などは↑を見ていただくとして・・・

このタイトル通り 自由を謳歌するには・・・
自由がある程度約束された国では 搾取される人間が
知らず知らずのうちに 誕生してしまうということ

悪循環とわかっていながら 雇う側も雇われる側も
甘い汁を吸いつつ 吸われつつ 悪循環を断ち切れない現実
それを断ち切ってしまうと 世の中が回らないこの世界
ヘヴィだけど まるでドキュメントを見ているようにリアルだった

丁度 何日か前に 日本(西船橋が舞台だった)の日雇い派遣労働者
とその派遣会社を追ったルポをたまたまTVで見ていて
朝 駐車場に集る若者 そして点呼を受け 各バンやバスに乗って
行き先も仕事内容も時給も曖昧なまま 派遣先へ向かう・・・

まるで そのデジャブーのような風景が目の前に広がっていた
毎朝 仕事に群がる労働者 それをさばく紹介会社の女 
単に舞台をロンドンに変えて 労働者を東欧・南米・中近東 
先進国でない国の出身者に変え 雇う側がパワフルだけど
非力なシングルマザーの女に変わっただけ・・・という感じだった
だけど 不法滞在などが絡んでいるだけ より状況はヘヴィだ

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地道なケン・ローチ作ということで 地味なキャスト陣なんだろうな~と
いう予想から外れて 主人公アンジーはシングルマザーながら
凄くパワフルで そして肉感的な女で かなりイケイケ系
女であることも上手く利用しつつ事業を始め・・・だったので 
かなり意表をつかれた なんとなくもっと地味~な女かと思っていたので・・・

だけど そもそも彼女が職を追われた理由というのも不条理で
どうのこうの言ってもこの世の中は 未だ男社会ということ
だから 彼女が女を利用して この道にずぶずぶと吸い込まれて
いったことも 決して責められないことだと思う
だけど 労働許可を持った人を紹介するという行為から
段々逸脱していき 不法滞在者に偽造パスポートを持たせて・・・
の辺りから道は狂っていった そして事件が彼女を襲う

だけど 劇中の台詞 不法滞在者の労働条件 身の安全がいかに水物か・・・
不法滞在者の息子と比べて あんたの息子はそんなにえらいのか?!
no と答えるアンジー 

余りにも逸脱した行動をする彼女を見て もうついていけないと
アンジーのもとを離れた仕事のパートナーであり親友のローズ

彼女は神様でも マザー・テレサでもない 
そして魔女でもない 単なる一人の人間でしかない
人助けをしてると言いつつ 自分と息子の為にはお金を稼がないといけない
自分も生活していくためには なかなかこの道から抜け出せない 
そして そんな彼女を頼っていかないといけない人間もどんどん出てくる
一人で彼女は新たな収入源確保のためにウクライナへ向かう・・・

この悪循環は切れることはないんだろうなぁ・・・
その悪循環がないと その国の人間は暮らせないんだろうか?
と思ってしまう 今の時点では解決法が何も見つからないような気がした

自由な世界には 壁も隔てずに 不自由な世界が存在する

とても地に足のついた ヘヴィでパワフルな映画だった

今日の映画:80点
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by acine | 2008-09-11 22:19 | Inglaterra イギリス映画 | Comments(2)
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続いて またケン・ローチ監督作
カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作

ケン・ローチは 過去の映画を見ても 
厳しい現実を堅実に描く人 重く心が痛む映画が多い
そして 主演のキリアン・マーフィーは 
プルートで朝食を が凄くよかったので ぜひ見たかった映画

一言で言うと 心に鉛のくさびを打ちこまれたような
シリアスで心に重く深く 刻み込まれるような映画だった

*以下 ネタバレあり

1920年代のアイルランド
英国による圧政からの独立を求める若者たちが義勇軍を結成
主人公の医者志望のデミアンもある事件をきっかけに・・・
そして まったく普通の若者・男たちが レジスタンスに巻き込まれていく
巻き込まれざるを得ない アイルランドの悲劇的な現実
心に痛く重くのしかかる映像とストーリー

緑が美しく素朴なその大地とは 裏腹の厳しい現実
彼らを全く人間扱いしない 駐留英国軍に対し
ハンチングをかぶり コートやジャケット 普段着で戦う彼ら
愛する国 愛する家族を守るため 
それだけの為に 全く犠牲を厭わない彼ら

英語名を名乗らなかっただけで 惨殺され 
残された家族の家も焼き討ちに合い
訳もなく連行され 拷問で爪をはがされたり
しょうがなく雇い主に協力したばかりに
幼馴染を殺さないといけなくなったり・・・
(このシーン 思わず涙・・・!)
やっと独立したかと思ったら 内戦で
兄弟で対立しないといけなくなってしまったり

いつどこで自分が巻き込まれない世界は
戦後の日本 島国の日本で のほほんと暮らしてる
自分の目から見ても 大変痛ましく 心に重くのしかかる

逆にそこまで 自分の国の独立を夢見て
民族の誇りを持って そこまで信念が持てる 
そして戦う彼らの姿は こんな言い方は
不謹慎と思うけど うらやましくも思えた

命をかけて 真剣に戦ってる彼らの顔を見ていると
立場は違えど 今の日本で そこまで戦ってる男
それを支える女が 果たしているだろうか・・・?!
いないと思う・・・

”自由が来るのはもっと先かもしれない この国は不思議な国だ”
とつぶやいた デミアンの言葉が 印象的だった
そしてあのシーン  涙がもうぶわーっと浮かんでしまった

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キリアン・マーフィー 派手さはなく 
堅実で一見地味なくらいの演技
だったけど 巻き込まれてしまった
人生を繊細に上手く演じていた
そして 信念を通す 兄テディ役の俳優さんも 
芯が強く繊細なシネード役の女優さんも
とてもよかった


全てのキャストたち シリアスで真剣な面持ちがよい
”明日へのチケット”の赤毛の子も出てました

魂がしっかり込められ 芯がブレない
繊細で骨太の映画らしい映画 圧倒されました
年に1,2本はこんな映画絶対見なくちゃいけない・・・!
こんな映画に当たりたい・・・そんな映画だった

今日の映画:84点
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by acine | 2007-01-08 18:18 | Europa  ヨーロッパ映画 | Comments(2)
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エルマンノ・オルミ(イタリア)、アッバス・キアロスタミ(イラン)、
ケン・ローチ(イギリス)による カンヌ映画祭パルムドール受賞監督3人による
ローマへ向かう特急列車を舞台にした オムニバス人間ドラマ

*少しネタバレあり

1話目:エルマンノ・オルミ作品
オーストリアへ出張し 孫の誕生日の為にローマへ戻る
イタリア人大学教授とオーストリアの企業の女性秘書との物語

食堂車を舞台に 彼女とのささやかな触れ合いを思い出し
夢の中なら自由だと・・・彼女と食事をしたり
まるで老いらくの恋への憧れを 映像化したような落ち着いた物語
暖かい牛乳のシーンは救われたような気分
秘書役は久しぶりに見た ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ
(カーラ・ブルーニの姉) ちょいと馬面なんだよなぁ・・・

某スパイ映画でも思ったけど あそこまで洗練されてないとしても
シャンペン パスタ 粋な会話 ヨーロッパらしい雰囲気がプンプン
あと ヨーロッパはやはり階級社会ということ 
大学教授やその他イタリア人、軍人、リッチそうなインド人は
当然のように食堂車にいるけど 難民は通路 
しかも子供のミルクも 不機嫌な軍人にこぼされてしまう・・・
そんな床のミルクを掃除するのも有色人種というのが印象的だった

2話目:アッバス・キアロスタミ作品
傲慢な中年女性と 息子くらいの年代の若者のイタリア人の話

このオバさんが もう本当に嫌な女でウンザリした~!
あの体型とあのふてぶてしさ・・・あんな女には絶対なりたくない!
それだけ演技が素晴らしいんだろうけど 電車に乗って
こんなオバさんが 予約した席に居座ってたりしたらと思うと・・・ウンザリ!
嫌気がさした フィリッポくんの気持ちもわかるよ 兵役してた方がよかったよね
この中で男二人が話してた会話
”女は若くっても 年をとってても 難しい・・・” ”同感だね”
これ・・・確かに合っている(笑)

3話目:ケン・ローチ作品
A.S.ローマと チャンピオンズ・リーグを戦う セルティックを応援する為
はるばるスコットランドからやってきた スーパーマーケット店員仲間の3人
1話目に出た アルバニア人家族(難民)も絡んでくる

2話目もヒステリックなオバさんで ちょっとテンション上がってきたが
3話目は イキのいいサポーター少年達ということで 
よりテンションが上がってきて これは予想通り面白かった
ただチケットのくだり・・・アンタたち優しすぎるね~
私だったら事情はあれ 自分が悪くないのに ふりかかるのはご免
悪いことした責任は断固取ってもらうね・・・!
だけど 終わりよければ 全て良しでよかったね(笑)という感じ

ただ 感心したのは 彼らの悩む姿 (ちょっとステレオタイプなのかもだけど)
難民について 真剣に話をする姿
これは 島国&戦後育ちの人間には そこまで思慮深くなれないだろう
地続きで EU圏内を目指す難民問題が身近だからこそ
若い彼らの間でも こんなくだりが成立するのかもしれない
うち二人は 同じケン・ローチのSWEET SIXTEENにも出てたらしい
(この映画・・・タイトルとは裏腹に心が痛む映画だった)

ローマ駅で 8万人いるサポーターで誰も逮捕者が出てない
セルティックサポーターにその仕打ちか?!
VIPともいえる 僕達にとる態度かー?!
ローマのサポーターとエールを交換するシーンなど
ヨーロッパサッカー世界らしさがよく出てて微笑ましかった

ちょっと甘めな日本タイトルより もっと現実味がある雰囲気
最後にテンション上がって よかったかなという感じ
個人的には やっぱり3話目支持

今日の映画:76点

こんな映画見てるとヨーロッパへ行きたくなるなぁ・・・
そしていろんな言語が飛び交う 電車の旅もしたいなぁ・・・
最後に行ったヨーロッパは もう3年半も前になる・・・(悲) 

その時の電車の旅・・・
この映画と同じイタリア ヴェネツィア⇔トリエステ間を往復したけど
帰りにトリエステ駅で 飲み物やポテトチップスを買ってたら
ギリギリになって うっかり切符を刻印するのを忘れ
(あっちの駅は改札口はなく イタリアでは自分達で刻印する)
確か10ユーロ位 罰金くらってしまった私たち あーあ!でした
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by acine | 2007-01-08 17:43 | Europa  ヨーロッパ映画 | Comments(4)