2009年 06月 28日
RACHEL GETTING MARRIED レイチェルの結婚 ’08 アメリカ

ジョナサン・デミ監督作を見たのは
”羊たちの沈黙”を見て以来かもしれない・・・
これまたアン・ハサウエイがアカデミー賞にノミネートされた作品
ひとつ前の”愛をよむひと”が とてもヨーロッパ的だとしたら
この映画はとてもアメリカ的な映画だと思う
姉レイチェルの結婚式の為
施設から戻ってきた妹キムとその家族
そして 結婚式へ集まった人たちの数日間を
淡々とかつ濃く丁寧にかつパワフルに描いたこの映画
結婚式ドラマであり 家族ドラマであり
ドキュメンタリー調でもあり なかなか見どころたっぷりでした
詳しく:シネマトゥデイ
冒頭の会話から どうもキムは何か事件を起こしたらしい・・・と
いうのがプンプンと香る・・・ そしてそんな妹を迎えた家族
時に温かく 時にぶつかり合い こんな濃密な結婚式前の時間を
過ごしていたら 肝心の当日にはすっかり疲れてしまいそうだ
と思う パワー不足な日本人(私)
そして こんな風に自宅で あれやこれや準備して
結婚式をするんだ~ 結婚式前からすでに披露宴的な
ものもしたり 皆トークが冴え エンターティナーばりに
スピーチやら歌やら・・・ 感心するばかり
出席者もこんな前から集まって そんなに休めるもんなの?
なんてこれまた日本的感覚で まったく別世界の出来事のように
アメリカンウェディングの準備を眺めつつ・・・

今回は汚れ役に近いキム役を演じるアン・ハサウェイ
黒髪のショートボブがよく似合い 黒っぽいメイク
黒っぽいマニッシュな服装 全体的にシンプルだけど
こういうスタイリングの方が 彼女の良さがぐっと出ると思う
普段は奇麗だと思うけど 小顔に大きなパーツで
鳩が豆鉄砲くらったような顔をしていて
正直好みではないルックスだったりして・・・
だけど 今回のシンプルな黒ずくめスタイルは良かった
(単に私が黒ずくめが好きだから・・・かもしれないけど・笑)
演技も そんなシンプルなスタイルに合わせ
すっきりと無駄をそぎ落としたような かつ力が
こもった演技で なかなか良かったと思う
決して彼女ばかりが悪いわけではないのに
なぜか巻き込まれてしまった運命・・・
自分をわかって欲しいばかりに あれこれと喋りまくり
誰やかれやにぶつかり 家族の前では素直になったり
素直になれなかったり 難しい状態のキム

そんな妹に優しく接したり 突き放したり
そんな気持ちもわからないではない姉のレイチェル
この姉役のローズマリー・デウィットも アンと対照的で
全体的に柔らかくかつ長女らしい目線もよい感じ
キム役は目立つけど ともすれば地味になりがちな
このレイチェル役を手堅く自然に演じていてとてもよかった
そして そんな二人を見守る 父親と再婚相手
この父親が 娘二人の父親らしい雰囲気がプンプンで
とてもよい感じだった・・・ 娘に甘くて 優しく接しすぎ位で
もう少し彼が厳しく接していれば キムだってそんな方向に
行かなかったかもなのになぁ・・・と思う位
娘を持つこんな父親はけっこういそうでリアル
歳をとっても華のあるいい女だった
父と離婚した実の母がデブラ・ウィンガー
これまた 母親らしい包容力と 女親ならではの
娘に対する鋭い厳しさが これまたリアルだった
そして そんな実の家族をそばで支える
よく出来た妻であり 継母である 父の再婚相手
彼女の描き方だけが 私は気になった
余りにも彼女が引きすぎで よい人すぎて・・・
実の親子を立てて あそこまで引っこんでる彼女が気の毒で・・・
自分たちの娘や姉が結婚するのはよくわかる・・・
だけど 皆もう少し彼女に気を使えないものか・・・と
あと 意外にもレイチェルの結婚相手は黒人男性だったのだけど
典型的中流以上(に見える)の白人一家にとって
それはあんなに普通のことなのか?
軋轢はあんなに何もなさそうなものなんだろうか?
あそこは綺麗に描きすぎかもね・・・とついいらぬ心配をしてしまった位
そして 周りの人々 介添え人、友人たち、新郎の家族など
各々の人々も 主要キャストに埋もれず ちゃんと印象を残している
しかし 話は元に戻り
多かれ少なかれ 問題のない家族なんてないし
ああいう大きな出来事 冠婚葬祭の時に それまで我慢していた
ことや 隠していた感情や言葉が爆発することは
往々にしてあるので このあたり 舞台は違えど
誰でも共感できる部分はあるはずだと思う
今回はそれにドラッグや不幸な事件まで絡んでるのが
余計 ぶつかり合いが激しくなるわけで・・・

この映画 結婚式前後の数日の人間ドラマだけど
何気なく流れる音楽が 結婚式のために集まった
ミュージシャンたちの練習の音だったり・・・
集まった招待客がとても音楽に達者だったり・・・
結婚式での演奏も ジプシー風だったり インド風だったり
ハウスだったり ジャズ風だったり ブラックだったり
さりげなく とてもワールド系で個性的で良かった
あと 衣装もとてもいい感じだった
キャストたちの普段着 そしてここでもブームだった
インド風の結婚式での インド風衣装
アンの黒づくめスタイル 列席した人たちの衣装やアクセサリー
レイチェルやアンたち お揃いで付けてたインド調の小さい象が
一杯ぶら下がったシャンデリア風ピアスとか凄く好みでした
あとで ラブソングができるまで と同じ衣装の人と知り納得!
あの映画での ドリュー・バリモアの恰好は
ことごとく可愛かったし ことごとく好みだったな~!と
見てる間は重いシーンもあるけれど
観終わったあと どこか清々しさも感じるのもよい
なかなかよい映画でした
今日の映画:80点
今日の映画:
by acine
| 2009-06-28 22:21
| Estados Unidos 米映画