2006年 09月 19日
Une fois que tu es ne 13歳の夏に僕は生まれた ’05 イタリア

イタリアが舞台の映画は 常によく見るけど
(イタリアが舞台なのに何故か英語とか←一番嫌いなパターン)
純粋イタリア映画自体は”息子の部屋”以来 大変久しぶり
(ただこの映画は あまりにもスローテンポすぎて 私はNG)
*ネタバレあり
イタリア北部ブレシアの
裕福で愛に溢れた家庭に育った 13歳の少年サンドロ
父親と父親の友人とギリシャへクルーズに
出かけた時に あやまって船から転落する・・・
一晩 真っ暗な海を彷徨い (この海のシーンが印象的)
九死に一生を得て 船に助けられる
が その船は何とイタリアへ向かう 密航船だった
悪徳密航業者に イタリア人と知られないように
助けてくれたルーマニア人の兄妹 ラドゥとアリーナ
密航者の中に混じり 何とかイタリアへ帰り着いたサンドロ
密航者のその兄妹に 何かしてあげることはないか?
両親に必死に働きかけるサンドロ
密航船でイタリアに戻り 数日間密航者達と過ごしたことで
それまでぬくぬくとした中で育った彼の中で何かが変わり
世界も違って見えるようになってくる・・・
イタリアでのラドゥ兄弟 ナイーブなサンドロ
そんな彼らの姿を描く とってもマジメな作品
サンドロと両親が住むの立派な家
密航者の収容された施設 そういう人たちが占拠して住む廃墟
小さいとはいえ 個室まであるボート
どこでどう人が振り落とされてもわからないような
黒山の人だかりが載った密航船
収容されても 雑魚寝するしかない密航者
イタリア人なので 収容所の中の個室のベッドで眠り
両親も速攻で迎えに来てもらえるサンドロ
そういう境遇や待遇が あからさまにはっきり違う情景を見せられると
普通に生活していると 密航者との接点なんて
まずないだろう自分たちも 考えさされるし
自分もサンドロと同じ立場だったら 何が出来る?と思ってしまう
そして どこまでその人たちのことを信用できるか?
密航者を連行する際に イタリアの警察官が
”何の言葉が出来る? イタリア語? 英語?
フランス語? スペイン語?” と声をかけたり・・・
収容施設で 多分彼らも収容者らしい人3,4人が
職員のイタリア語を その場でいろんな言葉で伝える
このあたりの風景も いろんな国から こういう密航者が
豊かなヨーロッパの国を目指してくるのだろうなと思わせる
豊かな国を目指して 越境し 船で密航し
国を出ざるを得ない人たちも この地球上には多くいるという事実
生まれついた場所・境遇で人生がこうも変わるのかと思うと
自分の考えてる悩みなど 取るに足らないこのなのだと思う
そして イタリア人って何て愛情表現が大らか
(というか 日本人感覚で言うと大げさ)なのが
うらやましくなる こういう風に表現できるってうらやましい
あんな愛情表現で育てられた子供は 愛情も表現も豊かになるはず

サンドロ役の子の まっすぐな目と何かを悟ったような後半
ラドゥ兄弟のやはり目 とりわけ妹役のアリーナ役の子の
キリッとして何かを語ってるような目元が印象的だった
ラストシーン サンドロはすっかり変わってしまったかのように
見えるアリーナと再会し ミラノの道端に座ってる姿に涙腺が緩んだ
マジメで冷静な視点 ヨーロッパらしい映画でした
今日の映画 76点
by acine
| 2006-09-19 19:01
| Europa ヨーロッパ映画