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by acine

めぐみー引き裂かれた家族の30年 ’06 アメリカ

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横田めぐみさんの家族を追ったドキュメント
一家のインタビューを中心に 増元さん
帰国された家族のインタビューを織り交ぜ
当時のTV番組、現場の風景などを追う

監督:クリス・シェリダン&パティ・キム
製作総指揮:ジェーン・カンピオン
クレジットによると イギリスBBCも協力してる様子

麦の穂をゆらす風の時も コメント欄で 話したけど 
このドキュメントにも 部外者が軽々しく口にしてはいけないこと
当事者でないと決してわからない感情・・・があるということ

この映画もまさに当てはまる しかもフィクションじゃなくて
今も本人、家族の苦悩と戦いは続いてる訳だから・・・

その中で 思ったこと

彼ら家族に起こったことは 偶然や運が悪かったではすまされないということ
彼らには何も罪はないのに 本人、家族双方
普通だったら 何も背負わなくていいはずの
とてつもなく重いものを背負うことになってしまったこと

普通に生活していても 大なり小なり 苦悩も苦労もある
理不尽なことも多いし 何故そんな目に自分が合う?
人生なんて そんなに上手くいくもんじゃない

なのに 彼らの想像を絶する現実に比べると 
自分の周りで起きている 上手くいかないことなんて まだ知れている 
こういう原因だったから これがダメだったから 上手くいかない
ということは ある程度予想の範囲内 
自分の責任の所在もある程度わかる・・・

だけど 彼らの身に起こっていることは 
普通の人間だったら 全く想定外の出来事
たまたま当時 日本海沿岸にいたから・・・?
彼らの目に留まってしまったから・・・?
運が悪かっただけでは 絶対すまされないこと

こんな目に合わなければ
こんなドキュメントに出る事もなかったし 
来る日も来る日も街頭に立つこともなく
神経を尖らせて 疲れ果ててるだろう 頭と体にムチ打って 
こんな活動をする必要もなかったはず・・・

ユナイテッド 93 同様 今回も点数はなしとします



その他 感じたこと

以下:ネタバレ多い

※印象的だったシーン

遺骨が日本へ戻ってきて (DNA鑑定の結果は別人)
記者会見で言葉にならず嗚咽する横田さんの父
”本人とは思わない これからもマスコミの皆さんの
協力をお願いします”と気丈に話す母 

あちらへ渡った後に撮られたらしい 不安そうなめぐみさんの写真を見た時
”私たちがあんなに探していためぐみちゃんの姿そのままだった
まさかこんなところにいたなんて”と 涙が出てしょうがなかったと話す母
 
増元さんの父親の亡くなる前のメッセージ

ショックの余り 寝たきりになってしまった地村さんのお母さんの姿
かいがいしく世話をやくお父さん

北の元スパイのインタビュー内容 
当然ながら007のように華麗ではなく 完璧影の仕事
彼らも 時代に翻弄されてることがわかる

行方不明になった日に めぐみさんの親友の母親が見た不思議な風景
(これはかなりゾっとする)

※ そして その他思ったこと

日本で起こってることなのに 何故日本人が
この映画・ドキュメントを撮れなかったんだろうか?

逆に 外国人が撮ったことで 感情に走り過ぎない
淡々とした内容がよかったのかもしれない
なので お涙頂戴ではなく 事実を事実として扱ってるだけ

ただ 映画やドキュメントとしては 
映像も綺麗じゃないし かなり素人寄りの出来で 
完成度はお世辞にも高いとは言えない・・・
TVドキュメントでも もっと質の高いものは一杯あるかもしれない

インタビューにかぶる音楽が 太鼓や尺八で 
ジャパネスクムード出しすぎなのが 気になった
外国で 外国人の経営する 日本料理店で
まがいものの日本食を食べてるような違和感・・・
この映画は そんな浅いオリエンタリズムを
強調する必要はまったくないと思う

しかも その音楽&効果音が いちいちうるさい
必要以上に ドラマチックにする必要はないし
静かな環境で 落ち着いて内容を見たい
このあたり どうも感性の違いを感じた・・・

だけど こういう内容を撮り 世界へ向けて発信したということが
このドキュメントの使命&価値だったのだと思うと
そんな小さなことは 気にしない方がいいかもしれない

最後に・・・

”慣れた故郷を離れて・・・ ”
と奇しくも 小学校の卒業式で めぐみさんが独唱していた
部分の歌詞が 現実とシンクロしていて 何と言っていいか・・・

全く非力ながら 
1日でも早く ご本人そして家族の神経の休まる時が来ることを願いたい
しかし 突破口はあるんだろうか・・・?
by acine | 2007-01-18 22:59 | Estados Unidos 米映画