2007年 03月 06日
PERFUME:THE STORY OF A MURDERER パフューム ~ある人殺しの物語~ ’06 ドイツ

いやいや・・・お見事!!!
濃厚な本当に香りが漂ってくる まさにその香りを体感するような映画でした
あれって 本当に場内に何か流してないよね?
香ってきた気がするって方 他にいません?
そういう香りが漂うシーンでは 本当に香る気がしたんだけどなぁ・・・
私だけ?! ローズっぽいアンバーっぽい香り
スピルバーグやスコセッシも映画化を狙ってたらしいけど 彼らではなく
ドイツ人監督 トム・ティクヴァが料理して大正解だったと思う
繊細で力強く 儚げで濃厚 猟奇的でかつ崇高 不思議と神々しい
ヨーロッパが舞台のこんな世界を描くには アメリカ人では絶対無理だろう
しかも↑の人たちでは もうまるっきり違う映画になってしまいそうだ・・・
しかも・・・変な方向へ とことん行ってしまいそうだ・・・
これはヨーロッパの監督や ヨーロッパ的テイストを持つ人しか
演出してはいけない世界だと思う
*ネタバレはないけど 核心を匂わす部分あり

それにしても ベン・ウィショーが見事!!!
レイヤー・ケーキでは例のチンピラ役 Jの悲劇ではダニエルの生徒役だった彼
予告見た時に まったく雰囲気違うので まさか彼とは・・・!と
ビックリしたけど 彼がこんなに演技派だったとは・・・!!!
あのチンピラも単なる生徒も 演技力の成せるワザだったとはね
イギリス若手俳優の底力・・・とにかく彼は恐るべし役者だと思いました
ベン・・・もう完璧に 天才調合師グルヌイユそのものに
なりきっていたというか 終始 もう完璧目がイっておりました
余りにも純粋に香りに惹かれる そして香りに取り付かれた故
人間として犯してはいけない領域まで踏み込む
その無垢なまでの純粋さ そして凄みのある静かな狂気まで 本当に見事!
猟奇的な部分もウエイト高いけど 絶対的嗅覚を持ち
ただ ひたすら香りを追及する純粋な仙人のようにも思えた
あんなことをやっていてまでも 不思議と神々しさまで感じる位
実は凄い俳優だったんだな 彼は・・・と本当に見直しました
正直師匠役だった 名優であるはずのダスティン・ホフマンが
彼の前では全く普通に見えた位・・・
そして 寄り気味の一種猟奇的なこだわりを感じるカメラワークも
物凄くリアルで見たくない部分まで 執拗に写すシーンもあるんだけど
全体的には 美しくないパリから 美しいグラースの街並みまで
その空気や香水の香り 体臭や悪臭まで
当時のヨーロッパの雰囲気がプンプン伝わってきような気がした

媒体では やたら レイチェル・ハード=ウッドが取り上げられているけれど
個人的には 冒頭の彼女に軍配・・・↑
美しさではレイチェルかもしれないけど この彼女のなんとも無垢な風情
それにグルヌイユがついて行かざるを得ない芳香を持っていたんじゃないか?
と思わせる なんともいえない無垢な生々しさを この女優さんは漂わせていたと思う
肌の質感まで生々しく感じるそんな彼女と
これまた無垢なグルヌイユのシーン・・・ドキドキしましたもん
そして行く前に やたらと話題になってた 例のシーン
(本当は知りたくなかったなぁ・・・情報時代の悪い便利さ)
そんな騒ぐほどのこと?! 別にそんなに問題ない気がした
それより そんな風に皆を導いた あの香水を作った
なぜかハーメルンの笛吹きのような グルヌイユの凄さにひれ伏すというか
普通・・・こんなのありえないだろ~!?と思いつつ
すっかりあの場の雰囲気に飲み込まれる
そして ベンの演技にこっちもひれ伏すという方が正しい
それほど 彼の演技や目には説得力があったと思う
猟奇的というより 余りにも純粋に香りに取り付かれ続けた人間の悲劇
イノセントで摩訶不思議なおとぎ話に 引き込まれ続けた・・・
ベルリンフィルの音楽も 格調高く とてもよかった
とても質の高い映画だと思う
今日の映画:83点
トム・ティクヴァ監督の映画は ラン・ローラ・ラン ヘヴン を見てるけど
前者:荒削りだけどアイディアあり 後者:繊細さがあり静かな余韻を残す など
なかなか力量のある人だと思う 今回は繊細でかつ力強く 完成度高く圧巻!
それにしても 今回の女の子も 赤毛でローラだったなぁ・・・
こういう作品が 作品賞や監督賞を取るのなら・・・私は納得できる
(アメリカ的道徳上では無理だろうとは思うけど・・・単なる問題作になってしまいそうだ)
もしくは麦の穂をゆらす風などもふさわしい ←実際カンヌでちゃんと作品賞を取っている

初めて街へグルヌイユが出てきたシーン ↑
どこかで見たことあるなぁ この通り・・・
バルセロナの旧市街のあの通りに似てるなぁ・・・?
あとグラースの街中も バルセロナの近郊の街に似てるなぁと思ってたら・・・
やっぱり~! バルセロナとスペインを中心に撮ってたらしい
私・・・バルセロナは大・大・大好きな街なので 見分けがつくのでありました

バルセロナからフランス方面へ1時間位の街 ジローナ ↑
ここがグラースの街中のシーンとして登場 こんな風に中世の雰囲気を色濃く残す街
左:この階段のシーンは間違いなく出てた 右:こんな感じの路地が一杯
見たことある風景が 思いがけず映画に出てくるのは嬉しくなる
それにしても こういう中世もの コスチュームもの撮るのは
時代考証から 背景から衣装から すごく力が要りそうだなぁ・・・と
他人事ながら 思ってしまう


ちなみに 私も香りものは大好き
つけ忘れて家を出ると どうも落ち着かない・・・
ここんとこのローテーションはこのあたり・・・
by acine
| 2007-03-06 20:59
| Alemania ドイツ映画