2007年 03月 13日
The White Countess 上海の伯爵夫人 ’05 英・米・独・中

監督:ジェームズ・アイヴォリー 脚本:カズオ・イシグロ
このコンビの映画は 日の名残り以来 (ずっと前なので余り覚えてない)
主演:レイフ・ファインズ ナターシャ・リチャードソン 真田広之 ほか
そして 撮影:クリストファー・ドイル
私の目当ては 関わる映画はほぼチェックしている この二人
お気に入り俳優の一人レイフ・ファインズと 大好きなカメラマンであるC・ドイル
そんな二人と J・アイヴォリー&K・イシグロ 舞台は1930年代の上海
なんだか不思議というか 珍しい顔合わせ
結論から 言いましょう! *以下 ネタバレ含む
コスモポリタンで 雑然とした 上海が舞台ながら
なんとも品のいい ストイックで哀しいストーリーでした
淡々としていながらも 静かなエモーショナルさが漂う
まるで 小説を読んでいるかのような
リアルで不思議な古きよき時代の 異邦人@上海の物語という感じ
実際に カズオ・イシグロの祖父一家は 当時上海に住んでいて
父親から その当時の話を聞かされていたそうで・・・
そのあたりが ベースになっているせいか 小説的だけど
リアリティも感じられたのは その辺りから来ているのかも
レイフは盲目のアメリカ人外交官という設定ながら やはり英国的香りがプンプン
それは決してマイナスじゃなく この映画に品格を与えてたような気がする
今回は別にヒネてもなく 物凄く弱弱しくもなく 落ち着いた普通の人
一見 上海の街には浮いてしまうような気がするが 意外と馴染んでいた
そして ロシアの伯爵夫人だったナターシャ
流れ着いた上海では 家族のために夜の仕事へ出る
白い肌、ブロンド、濃い顔だけど 品の良さがあるので これまた役にピッタリ
決して若くはない 脂ののった感じもこれまたよい
彼女の家族も もと伯爵一家なので 今はこんな生活だが
品格を保ってるのは この映画には よくあっていた
だけど 嫁であるナターシャに働かせておいて この家族がねぇ・・・問題
そして 日本から参加している 真田広之
抑え気味の演技 英語も自然でよかったけど
いつも思うが もう少し上背があれば もっとスクリーン栄えするのになぁ・・・と思う
レイフと同じようにジャケットやタキシードを着ていても ちょっと七五三的なのが惜しい
日本人の中では濃い顔の彼だが 西洋人に混ざると
ポーカーフェイスに見えるのは 今回の役にはよく合ってたと思う

そんな中で生きる 二人なんだけど
漂う空気が とにかく品がいいのだ
キャストの雰囲気か J・アイヴォリーの演出か
k・イシグロの持つ 穏やかさなのか
イギリス的品格 日本的慎ましさ
双方に共通する 落ち着いた雰囲気
この辺りの雰囲気が 自然と滲みでていた感じ
↑ なので 独特のC・ドイルのカメラワークも
今回は かなり控えめ かつ大人しめのように思えた
同じように 上海が舞台で彼のカメラで撮った 花の影や 愛の神、エロスなどは
もっと中華的濃厚さ かつ官能的だったような気がしたけれど・・・
静かに物語は進むので いったいどんな結末なんだろう?
日本軍が出てきたり あの家族の仕打ちに驚き
段々と 不安感がつのってくるけれども
ラストは希望が持てるもので よかった
ストイックな二人の これまたストイックに心が寄り添う
船のシーンは あぁよかったなぁ・・・とほっと胸をなでおろす
こんな品のいい ストイックな上海が舞台の
静かな大人のラブストーリーも よいものだと思う
今日の映画:80点
今は流れ着いた 上海でどん底生活をしているものの
ロシアの伯爵家のはずのナターシャ一家
伯爵家という血筋に誇りを持っているし
当然ロシアやロシア語にも 誇りを持ってるはずと思うのに
家族の中で 何故か英語 しかもそこは上海なのに・・・
仕事に必要なナターシャや 一歩家を出れば・・・なら
わからなくもないけど かなり不自然だ・・・
同様に レイフとナターシャが知り合うシーン
旧知の間柄であるナターシャと ロシア時代の知り合いが出会う
ロシア人同士である二人の会話が ロシア語であれば (普通そうだろう)
レイフもそれに気がつかなかったはず そして知り合うこともなかったと思う
あの二人の会話が英語だったから 知り合ったという
こじつけになるけど あれも上記同様かなり不自然な設定だと思うな~
他が不自然になってもおかしくない 設定の映画だったけど
不思議と自然に見えただけに この英語のシーンが物凄く不自然で惜しい
ま そんなことこだわらなくって いいんだろうけど・・・
英語圏じゃないのに 誰もが英語という映画は苦手・・・
今回のように よく出来た設定だと余計 勿体ない
by acine
| 2007-03-13 22:42
| Inglaterra イギリス映画