2007年 03月 15日
The Last King Of Scotland ラストキング・オブ・スコットランド ’06 アメリカ・イギリス

ズシーンと 心にのしかかる 余韻が重い映画
スコットランドのi医学校を卒業し 医師となったばかりのニコラス
目をつぶって地球儀で指差した ウガンダの診療所で働くために この地へやってきた
クーデターが終わり アミンが大統領となったばかりの時代
そんな中 たまたま出くわした大統領の怪我を手当てし
スコットランドをよく思っていた 大統領に気に入られ
彼と彼の家族の主治医となり 大統領の管理下の病院で働くことになる・・・
単なる主治医ではなく 大統領の手厚い好意の中
申し分ない生活を送るようになる・・・そして 大統領の代理として会議へ出たり
だんだんと主治医というより まるで側近のような存在になっていくニコラス
そんな中 アミンの何人かいる妻の一人のケイと知り合い・・・
独裁者 アミンの擁護のもと 不穏な流れに巻き込まれていく彼・・・
※以下 ネタバレあり
70年代 まるでロックミュージシャンのような
青二才な雰囲気を漂わす 医者になりたてのニコラス
若さゆえの物見遊山的な気分もかなり入ったまんま
(たまたま 地球儀 指差してだからねぇ・・・)
ウガンダへやってきたら あれよあれよと
アミンのお気に入りになっていく様は 見ていても
なんだか気持ち悪く ものすごく居心地悪い・・・
いくらアミンがスコットランドのことを気に入ってる
たまたま そのスコットランドから来たとはいえ
どう見たって 医師としてはペーペーの青二才なニコラスに
そこまで 信頼をよせるのかが どうもわからない・・・
ニコラス本人も 貧困に苦しむ人がいながら
アミンの傘下で 堂々と恵まれた生活を送る・・・
これって 単なる外国人の無知というか 厚かましすぎるんじゃない?
普通こんなことありえないよな~と思うと とにもかくにも居心地悪い
演じるジェームズ・マカヴォイは 色白で目がブルー
いかにもスコティッシュな風貌で 70年代ながら
雰囲気がフワフワしてて 今時の子にも見える
そして なかなか魅力的な雰囲気を漂わせ ニコラスや国民に近づく
アミンを演じるのが アカデミーで主演男優賞を取った フォレスト・ウィテッカー
アカデミーの彼のスピーチで、私は思わず涙がじわーっ・・・
そして その後のABCの彼のインタビュー見てたら こんどは涙・・・
不覚にも 二度も 彼の言葉に思わず涙してしまった私は
これは見ろということだろう・・・と勝手に思ってました
前半 外国人ニコラスの奔放ぶり アミンの歓迎ぶりに
白々しさを感じすぎて ものすごーく居心地が悪かったのだけど
後半 その期待を裏切らない展開となった
というか 嘘くさい国際友好から サスペンススリラーに 大胆な転調!
ここからが とにかくずっと見せ場 心休まらない
本性を見せ始めたアミン そしてやっと自分のやってきたことに気が付くニコラス
いや・・・ホントに怖い パスポートを取り上げられ
いつの間にかウガンダの国民にさせられ 国外に逃げようもない・・・
その場その場で勝手なことばかり言う アミン
独裁者が支配する世界 そこへ何も知らないウサギが迷いこんだ
いつの間にか 無知なウサギは追い詰められ・・・大きなしっぺ返しを喰う
前半と後半で コロリと雰囲気がかわる 主役二人
F・ウィテッカーの豹変ぶりと J・マカヴォイの狼狽ぶり
容貌も持ち味も対照的な 二人の演技も見もの
この密度の濃い 危険すぎる後半のために
居心地の悪い前半が あったのか?という気もする
余りF・ウィテッカーの演技は見たことないので
大したことは言えないけど 演技としては十分合格点
だけど この人はもっと出来そうな気もする 余力を残してる雰囲気
個人的には 逆にJ・マカヴォイが よく頑張ってたかなと思う
何にしろ二人とも 役には凄くフィットしていた
教訓:外国で 外国人は軽はずみな行動や言動をしてはいけない
出すぎた真似 知りもしないのに 知ったかぶりをしてはいけない
その国の奥深くに入り込んではいけない 知りすぎてはいけない
安易に人を信じてはいけない しかも美味しい話に軽々乗ってはいけない
まず 普通はありえないけど 独裁者に気に入られてはいけない
自分がニコラスの立場だったら・・・と思うと 物凄く恐ろしい話だ
実は今もこんな話は世界のどこかへ転がっていそうな気もする
重い余韻が残る映画・・・ とても映画らしい映画ともいえる
ナイロビの蜂ほど グローバルでもスケールも大きくないけど
あくまでも いちスコットランド人から見たアミン という物語
ここに焦点を絞った関係は これでよいのだと思う
そして 最後に出る 本物のアミンのフイルムがまた効いている
今日の映画:82点
また ウガンダで英語だ・・・!
どうして ウガンダ国民へ向けての演説や
家族や側近 ウガンダ人との話が英語なのよ・・・!?
なんで そこだけでも現地の言葉でできないのかな~
どうもリアリティが薄れて勿体ない・・・
何でも英語ありきにするのは 映画にとってマイナス点大きい
それにしても ここ数年 アフリカが舞台の映画というのは
映画界の一つの流れなんだろうか?
アフリカの景色や街並みさえ 普段なかなか見るチャンスが
ないので これはこれで為になるけれども・・・
by acine
| 2007-03-15 00:36
| Estados Unidos 米映画