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by acine

夜宴  女帝[エンペラー]  ’05 中国・香港

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コテコテの中華色と思いきや シェイクスピアのハムレットがベース
こういうコスチュームもの宮廷劇は 何故か洋の東西差はなく
支配する者 される者 権力と色と欲が渦巻く人間関係
巨大な建物 華麗な装飾に衣装 馬で駆け巡る 
ヨーロッパものと中華もの モチーフ的に共通項がとても多い
双方 様式美の世界なので 違和感全くなし
ストーリーはコチラ

いやはや 美術・衣装・音楽・アクション 
どれをとっても 凄まじい様式美の世界!
まるで中華版ゴシック これでもか!と徹底されている
東洋らしい竹を使った戦いの場 紙の面 水 石 刀 彫り 照明 蝋燭etc・・・
衣装・室内・装飾品など 黒・金・赤・白がメインの中華的な色
作りこみすぎか?ともさえ思える 大道具・小道具の凝りよう
場面場面がまるで 1枚の絵か狙いすました写真のようなインパクト
音楽も”HERO”のタン・ドゥンなので ドラマチック感をそそる 
HEROほどのスケールはないけど 力の入れようは感じた

そしてユェン・ウーピンの まるで優雅に舞うような 
独特の時間が流れる ワイヤー&カンフーアクションの数々・・・
土や川や雪の中から人が飛び出てきたり 空から人が降ってきたり
あ・ありえん・・・!と思いつつ その美しい舞いとその間合いに見入ってしまう

これは いくらハリウッドが香港風アクションを真似したって
真似できない東洋的(中国的)な優雅さと鋭さ
俳優陣もそういう血が自然と流れているようで
アクション、構え一つ一つとっても 大変サマになる
いやはや 中華圏の俳優は 演技も当然のことながら 男も女も
こういう伝統的アクションも出来て当然なのがいつもながら感心

そして そんな徹底した様式美に比べると 
演技はどちらかというと静の世界
今回若干おとなしめに見えるキャスト陣の中でも
褒めたくないけど チャン・ツィイーはインパクト大

女のいやらしさ・強さ・計算高さを延々垣間見せる演技
本心を隠し 頂点へ登りつめる女を演じる様子は
彼女のリアル女優人生とも重なるようで 小賢しさ十分
は~嫌な女だなぁ・・・とウンザリしつつ やっぱり口が曲がってるわ
と思いつつ でもくやしいけど上手いわな・・・と唸らされる 

たかだか20代半ばで こんな大奥か極道の妻のような
女のいやらしさや小賢しさを 存分に出した演技が出来る女優は
洋の東西でもそんなにいないんじゃないかと思う
まだまだ コン・リーの貫禄やスケール感には欠けるけど

そして これまたいかがわしく気高く静の演技が上手いグォ・ヨウ
白い衣装がピッタリの皇太子・・・彦祖 ダニエル・ウー 
彼の古装片は初めて 顔の彫りも深いのでアップが映える
アクションバリバリいけるのに 今回はちょっとおとなしめだったかな 
そして これまた儚げで ツィイーとは対照的に清流のようなジョウ・シュン
名前がわからないが これまたスッキリした男前のジョウ・シュン兄も好印象

いつも思うが 中華系の俳優は 本当に落ち着き&貫禄がある
日本の俳優などにありがちな 存在感が軽くないのがいい
時代物だと しっかりとその時代にもハマるし
そして あの口上合戦というか ハッタリ合戦のような
あの独特な朗々とした台詞まわしも たまらなく面白い

様式美とチャン・ツィイーのインパクトに比べると
今イチ酔えないストーリーは尾を引かないけど まぁ及第点 
物凄い様式美を見るだけでも価値あり

今日の映画:76点



思いっきりドメスティックな ”大日本人”と 
同じく 思いっきりドメスティックでも 裏の狙いが見え隠れしても
十分海外に通用しそうな この映画との違いは何だろう?

いつも思うが 中華圏の人のメンタリティの方が
より欧米人の感覚に 近い感じがする 
俳優も堂々としてるし 間合いも的確

作品作りも 世界のマーケットで何が必要とされてるか
その辺りのニーズを掴むのも上手いと思う
だけども 映画には 東洋的奥ゆかしさ たおやかさもあり
色使いを始め オリエンタリズム エキゾチシズムも強力
こりゃ・・・中華圏勢 強力だわな~ アピールが上手い
by acine | 2007-06-06 14:35 | Asia アジア映画