2007年 07月 23日
SAINT JACQUES... LA MECQUE サン・ジャックへの道 ’05 フランス

サン・ジャック? 聞きなれないな~と思っていたら フランス語だから
スペイン語では かの有名な ”El camino de Santiago” のこと
スペインの北西部にある カトリックの三大聖地のひとつ
サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道
この映画で描かれるのは フランス~スペイン ピレネー山脈越えのルート
スペイン好きの私は 何冊かサンティアゴ巡礼の本を読んだことがある
歩きは無理としても いつか旅したい・・・と夢見る地方なのだ
ただ 私は巡礼もいいけど もう少し海側のルートで 街歩きと美味しい旅がいい!
スペインの北部は美食で有名 美味しいものだらけらしい・・・のだ(笑)
あとはロマネスクの教会見たり ゴシックの教会の回廊をフラフラしたい・・・
な~んとなく 穏やかな巡礼の旅だろう・・・と思っていたら
ところがどっこい タダじゃ転ばない・・・おフランス映画!!!
やってくれます 思いっきり予想を覆してくれることよ(笑)
冒頭から えっらくテンション高く 大人気ないおフランス人中年兄弟の登場
喋くりまくるわ! うるさいわ! 見てる方は まずは呆気に取られてしまう
会社の社長で 経済的には豊かだが アル中の妻を抱える こうるさい長男
ガンコものの高校教師で 融通が効かず 現実主義で可愛げない デブの次女
無職でアル中 妻から見捨てられ 誰や彼やに酒代をせびる 情けない次男
急死した母親の財産を相続するために 母親の遺言どおり
嫌々 3人で巡礼の旅に出ることになる・・・
情けないけど 仙人のようで なかなか面白い次男はいいとして
こうるさい長男&ガンコな長女には 出発前からウンザリ
そのうち 集合場所の駅には これまた 濃い旅の道連れが集ってくる・・・・
ギャル2人 何故かメッカを目指すと思ってやってきたムスリムの少年2人
謎めいたスキンヘッドの女性 そして 頼りがいのあるガイドのギィ
大人気ない兄妹がいい年して 取っ組み合いのケンカを始めて
この旅は一体どうなるんだろう?!と 先行き不安になるけど
このテンション高く毒舌一杯 自由気まま その一行の行動に
呆気にとられ 苦笑しつつ 笑ってるうちに こっちもすっかり
このテンション&リズム 珍道中に巻き込まれるのだ
大自然の中 とにかく歩く・歩く・歩くだけ
たまに食事 そして休憩 夕方には宿泊所 その繰り返し
道中 文句を言いつつ 恨み言を言いつつ・・・
お互いをうとましく思ってる兄弟 カップルが出来かけたり
お互い腹の探り合いったり 宗教は違えど ムスリムの少年達との触れ合い
時には親しく 時には個人主義 距離の取り方や 年代や背景が違えど
人間として付き合う そんな関係は 日本人とは違ってて面白い

各々が あれこれの邪念・雑念を持って出発した旅だけど
いらない荷物を捨て 苦しい中歩き続け 励ましながら歩いていく間に
あんなにテンション高く 濃かったメンバーも 段々シンプルになってくる
邪念・雑念が取り払われ どんな人間も だんだんと純粋になってくる
そして ぎこちなくも 段々と近くなる関係 遠くなる関係 人間模様いろいろ
恋も芽生え 恋も破れ そして 同じ釜のメシを食った仲間としての団結感も
こうるさいメンバーだな・・・と 思ってた彼ら
時には岩場で休憩し 川に足をつけて 大自然を眺めていると
こっちも一緒に苦労を共にしてるような気分になるのが不思議
うっとおしいな~と思ってた一行にも すっかり親しみが湧いてくる
時折はさまれる夢の情景(?)も シュールで面白かった
美男美女はいない 有名俳優を使ってないのも 新鮮でリアルでいい
(フランス映画に詳しい方には おなじみな人たちなのかもだけど)
こんなフランス人一行 巡礼の道にいるかもな~と思わせるのもいい
単に街から街へというより 人間関係・その心の変化にウエイトを置いた映画
もう少し美しい景色や街並みも楽しみたかったような気もするけど
こんな本能丸出しの巡礼の旅も 正直でいいじゃないか・・・と思う
ただし・・・自分が行くなら もう少し静かに旅したい
あのテンションじゃ 絶対疲れる・・・!(笑)
おフランス巡礼映画 予想とは全然違ったけど
この強烈なテンション&リズム 嫌気がさしつつも 面白くて
後味も清々しいという 意外な転調もよかった
今日の映画:77点
by acine
| 2007-07-23 22:24
| Francia フランス映画