2008年 10月 15日
GOYA'S GHOSTS 宮廷画家ゴヤは見た ’06 アメリカ・スペイン

何かの物語の挿絵のようなポスターですが
こういう映画があるらしいというのは この頃から知ってましたが
やっと 今頃公開になりました
スペインもの! そしてハビエル・バルデム!
ハビちゃんが出るとなれば そりゃ見逃す訳にはいきません・・・!
その頃から ハビは画家のゴヤ役なのだろうな・・・と
ぼんやり思っていたら 神父ロレンソ役でした
彼が演じるからには 一筋縄ではいかないだろう・・・と
思ってましたが やはりその通り!
スペインの中世の暗闇 そして宗教が権力を持つ時代
単に暗い・重いだけでなく ドラマとしても しっかりと魅せてくれる作品でした
しかし 権力者が支配する世の中を生きるのも大変だけど
宗教が持つ力というのも 使い方を間違えば
大変怖いもんだなぁ・・・ そしてヨーロッパの国同士の
侵略につぐ侵略 何にしろ厳しい世の中・・・
自分はこんな時代のこんな場所に生まれなくてよかった
と思わず 思ってしまう物語でした
こんな映画をチェコ出身の監督が撮るのは興味深いところ
詳しく:東京美術通信

それにしても 中盤までいや 常に気になったのが
こんないかにもスペイン・スペインした物語で
何で皆何故英語を喋る・・・?! 物凄く違和感がありました
個人的にとても気になる国・言葉だから 余計に気になって・・・
所々 バモスやグラシアスやグアパ という単語が聞こえて
ほっとするのも束の間・・・ 言葉と共に手や体の動きも違うし
そのせいで空気感まで 凄く英語的世界で
全然違ってしまうような気がしたのでした これは惜しい
字幕では ちゃんと名前もロレンソになってたけど
キャストが発音してたのは ロレンゾだしなぁ・・・!
フランシスコ・デ・ゴヤも デが抜けてたしなぁ・・・
名前まで呼び方違うのは 失礼だと思うんだけど・・・
これだけお金使って 時代考証もちゃんとされてるみたいだし
映画としても 地に足のついた出来のいい映画なのにね・・・
そして 濃い濃いスペイン人のハビエルはよいとして
ナタリーもスペイン人には見えないけど 明かされる出目からして
まぁOK しかし何でスペインを代表する画家ゴヤ役が
背が高くて あんないかにも北方ヨーロッパ人っぽい容貌なのか・・・?!
彼はストーリーテラー的役だったので さほど出番がある訳でも
ないけれど こんな風貌だったんだろうか・・・? とどうも入り込めず
英語圏でない国が舞台の場合 ある程度キャストの血統や
風貌も 舞台にある程度揃えておくのが自然じゃない?と思いません?
外国人でも 先祖がそっち方面の人とか
ラテンの国が舞台なら せめてラテン系の人とかね・・・
言葉は無理としても 私がもしも力を持つプロデューサーや
監督だったら 多少選択肢が狭まっても 絶対そうしたい
まぁ 映画も大きな大きなビジネスだし キャスティングやら
政治的な力や 英語の国ならではの英語が世界の共通言語!的
考えなのだからでしょうかね~? 言葉だけじゃなく
どうも私はこういう点が物凄く気になるタイプなのでした

そして やっぱり魅せてくれました! ハビちゃん演じる神父ロレンソ
今までの映画同様 (タグ参照) その大顔とずんぐりした図体同様
骨太で いかがわしさも存分に表現したさすが・・・の演技でした
惜しいのは スペイン語じゃなかったこと! それだけね
羊の皮をかぶり切れなかった 神父時代
あのナタリーを前にのワナワナぶり・・・おぞましさ充分でした
そして 羊の皮を脱ぎ去って 自分さえよけりゃいいの
あの傲慢な後半・・・ そしてラストまで存在感たっぷりでした
骨太で繊細で 卑しい部分までちゃんと表現できる
人間くささが存分に出た演技は この人ならではだと思う
その大木のような揺るぎも迷いもない堂々とした演技は好感度大
そして 豚を食べなかったというだけで 異端者扱いされ拘束され投獄
なんとも悲惨な人生を送るイネス役は ナタリー・ポートマン
正直 投獄されるまでは 何てことない演技だな~と思っていたが
投獄されて ○女となってから・・・の部分 そして二役の部分
こんなお嬢様女優がよくやったね・・・!と褒めてあげたいと思う
そして 北方系ルックスがどうも・・・と書いてしまったステラン・スカルスガルド
(難しい名前だ)は やはり北欧の俳優さんのよう
彼も演技は堅実で上手かったけど ハビが一緒では分がちょっと悪い
ゴヤの絵はマドリードのプラド美術館で一杯見たはず・・・
なんだけど 覚えてるのは 有名な”着衣&裸のマハ”二つに
不気味な”我が子を食うサトゥルヌス”
プラドは とにかく巨大な美術館で 歩き疲れた記憶が・・・
個人的には 同じスペインの宮廷画家だったら ベラスケスの方が
好きだけど・・・ (生ラス・メニーナスには凄く感激でした)
だけど エンディングのゴヤの絵を見ていると
宮廷で描いた絵以外の あまりにも暗黒の世界・・・
チャンスがもしあれば ゆっくり見てみたいなぁと思ったのは事実
暗く重いテーマながら ストーリーはしっかりしていて
スペインの闇 宗教の闇をしっかり描いてる様は見応えたっぷりだった
今日の映画:80点
by acine
| 2008-10-15 21:01
| España スペイン映画