2009年 02月 03日
Dialogue avec MON JARDINIER 画家と庭師とカンパーニュ ’07 フランス

初老を迎えようかという 男二人の友情物語
なんとも 瑞々しく そして現実的で
爽やかな余韻が残る いい映画だった!
フランスの美しい自然や庭を舞台に人間も自然
40年ぶりに出会う 小学校の同級生二人
家業の薬局をつがず パリで画家をしている男に ダニエル・オートウィユ
国鉄の仕事から身を引き つつましく地元で暮らし
画家の家の庭師となる男に ジャン・ピエール・ダルッサン
詳しく:映画の森
おフランス映画なので 男だろうが
そんな年であろうが 喋る!喋る!
ま それはいつものことなので 驚かないけど(笑)
二人の男優の息がピッタリなせいか
この映画でのお喋りはなんとも心地いい
そして 時折考えさせられる・・・
いくらか感じる 40年間の空白・・・
空白の期間の地位やライフスタイルの違い・・・
そんなものをものともせず 徐々にお互い影響をし合う二人
こんな歳で こんな友達に再び出会えたら 最高だろうなぁ・・・
と思わせる 男二人のお互いを思い合う
損得なしのシンプルな友情がとても心地いい

片や経済力がある程度ある家に育ち
画家となり 花のパリで暮らしているが
妻と別居中 娘ともどうも上手くいかない男
そして 暑い日も寒い日も 線路に砂利を敷き
早めに仕事から身を引き 娘一家の心配をしながら
つつましく妻と仲良く暮らす 今はパートタイム庭師の男
私はダニエル・オートウィユは大好きな俳優だけど
今回は出だしのいかにもなんちゃってピアノ演技
(しかもジャズ系)や 絵筆を握る画家というのは
ちょっとミスキャストじゃない?(かえって庭師の彼の方が
どちらかというとアーティストっぽい風貌)と 思ったりしたけど
見ていくうちに 画家という役が ちゃんと馴染んでゆき
ブルーカラーで慎ましく暮らす友からの影響を受けてゆき
行き詰っていた妻や娘との関係も好転し
気がつけば とても微笑ましく彼を見ていた私・・・

そして 同級生の庭師は ひょうひょうとしながら
慎ましく真面目に身の丈で生活し 決して 都会帰りの画家の
悪い習癖には迎合しないその潔さ そして語られる奥さんの話・・・
一見つまらなく見えるかもしれない彼の生活は
地味だけど とても地に足がついていて 何もかも見ているだろう
パリ帰りの画家に 段々と影響を与えていく
笑顔をたやさず 真面目でも ユーモアもあり
身の丈で暮らす彼には 小さな幸せをちゃんと幸せと感じる能力がある
そんな慎ましい庭師を演じたのが ジャン・ピエール・ダルッサン
サン・ジャックへの道では アル中の情けない男だったけれど(笑)
この映画の庭師役は本当に素晴らしかった!
そのまま その庭師が現実に存在してるかのようで・・・
エンディング間際の
体調が悪いのに 自分の菜園で野菜を世話する庭師
持参のラジカセから モーツアルトの曲が流れるなか・・・
”菜園が人生だ”
この台詞には 涙しました
菜園・・・という言葉に こんなに心動かされるとは!
誠実でとてもよい映画でした
美しい田舎(自然)の中で
まるで少年のようにキラキラとした おフランスのオヤジ二人の
友情が微笑ましくうらやましかったです
こんな小作品があるから ヨーロッパ映画は凄いよね
おフランス映画だっていいよね・・・となる
こんな味わいはハリウッド映画なんかじゃ 絶対味わえないもんねぇ
今日の映画:81点
by acine
| 2009-02-03 23:36
| Francia フランス映画